話題にならない「日本からの難民」

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日本も一時に比べると景気が悪いためか、海外からの労働者の流入が、話題にあまり上らなくなりました。日本では、「日本に入ってくる外国人」には注目しますが、いろんな理由があって、日本から逃げ出していった「日本からの難民」に注意が払われることは、ほとんどありません。

もちろん、海外で働く人、留学する人、国際結婚をする人たちがいることくらいは、私も知っています。しかし、その動機まで、深い関心をもったことがありませんでした。

日本人をやめる方法」より。

「『日本から外国への難民』なんていないと思っている人たちが、日本社会の大半を占めている。いったい何の話なのかと首をかしげる人たちが、ほとんどだろう。そこに、今日の日本の自画像の特徴がある。しかし、海外に散らばって住んでいる多くの日本人の実体をよく観察してみれば、日本社会に愛想をつかして、事実上逃げ出してきた人たちが、あちこちにいることが分かる」(P.66)

著者は、「日本からの難民」のタイプには、少なくとも3つあると述べています。

*会社難民…日本企業の上下関係や、過労死間近の長い労働時間に閉口して、海外に働き口を求めたり、海外で起業したりする。
*教育難民…日本の学校に愛想をつかし、海外に向かう人たち。
*地縁難民…在日韓国人など、日本に暮らしにくさを感じる「外国籍定住者」。

また、切り口を変えると、日常生活のなかにある権力関係・社会的制裁を回避しようとする「政治難民」、あくせく働かなくても日本以上の生活水準を維持できることを求めての「経済難民」、仕事に対する態度、教育観、自然への向き合い方、親子関係などの意識パターンにおける「文化難民」という風にも分けられるようです。

確かに、慣れ親しんでいて、他を知らないので、「日本を離れる」という選択をしないでいますが、一歩足を踏み入れてみれば、失うものもある代わりに、手に入れられる自由や快適さもいろいろとあるのでしょう。私の場合、仕事あるいは経済の問題をクリアできれば、住むのは日本でなくて、まったく構わない。

そのように考えると、人間とは、まったくの未知の世界よりも、地獄であっても知っている世界の方に、より安心を感じるものであるらしいことが分かります。

それは、赤ん坊のような弾力性に富んだバイタリティを失いつつある、「老人性」のひとつの現れかもしれませんね。

こんな経験はありませんか?年老いた親に、こうした方が便利だとか、無駄が少ないとか、快適だとか、アドバイスしたところで、聞く耳をもたない…。

それが、著者のいう「今日の日本の自画像」の縮図なのかもしれません。

>>自身を「ユニーク」と信じる日本人