自身を「ユニーク」と信じる日本人
トップ > 他者との共生 (記事一覧) > 自身を「ユニーク」と信じる日本人
 |
日本の人たちには、なぜか「日本という国、日本の文化は、世界のなかでも特殊である」と考え、そのユニークネスを、国際社会におけるアイデンティティと捉えている面があります。
「日本人をやめる方法 」より。
「日本人が特殊独特であるかどうかは別として、特殊だ独特だという言説を繰り返し頭の中にたたきこまれているという点で、日本人は世界でもめずらしい特殊独特な情報環境の中で暮らしている。しかも、こういう言説が無制限に呪文のように唱えられつづける結果、日本人は一種の催眠状態に落ち込んでいるのではないか。日本社会からハシゴをはずすときに私が感じた恐怖心が、この催眠術の影響のもとにあることは確かだった。そのことが次第に目に見えてくるにつれて、この呪縛から自分を断ち切ることが、私にとっての課題となった」(P.105〜106)
著者によれば、よくある「日本論」における欠落している視点は次のようです。
*「日本人は論理よりも感情を大切にする」といった情緒的視点への懐疑…論拠とされている事例を見ると、一見情緒的と見えるふるまいの奥に、利害を計算した打算的な動機が見え隠れする。
*「日本人の価値観、日本文化と呼ばれているもののなかで、どこまでが自由意思に基づいた選択によるものであるか、どこまでが操作され強要されたものであるか」をきちんと区別していない…いわゆる「日本集団主義」や「日本的コンセンサス」といわれるものが、日本の大衆が下から自主的に選択したものではなく、支配層が上からあおっている公認イデオロギーの産物であるという側面を見落としている。
*日本社会の成功した側面と失敗した側面との因果関係をきちんと評価すること…日本の“不成功”が、“成功”の原因または結果であることに考慮が払われていない。
同書の面白い試みは、「あべこべ日本人論」という章に見られます。
日本人がほんとうに集団主義的かどうかを検討するためには、日本人が集団主義的でない場合について省察する必要がある、というのが、著者の主張です。
そして、よくある日本人集団主義説の主題を転倒させた命題、これを読むだけでも、かなり楽しい。趣旨は、こんな感じです。
1.日本人は自我が未発達であったり、自己観の形成が不十分なわけではなく、明確な自己意識をもっていて、自分と他人との境界線をはっきりと知覚している。
2.日本人は自己利益についてのはっきりした認識をっていて、その最大化のために集団という手段を利用する。
3.日本人はみずからの生活空間に対して、明確なプライバシー意識をもっている。
4.日本人は、「以心伝心」よりも文書に残るコミュニケーションの形態を好む。
5.日本人は契約主義である。「腹芸」ではなく、形式の整備された約定を好む。
>> 「日本人自己主義説」
|