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私は石造の地蔵としてその表現形式においては法衣をまとい、また近在の老婆(複数)による信仰心の表現として寄進された赤い前掛け(コットン/ポリエステル各50%)をいわば衣服として着用している。
しかし私は数々の相談、独白、告解を受けることにより無数の人物の記憶を共有する存在となり、例えば脱ブリーフを決意して以来、長年にわたって
理想のトランクス を捜し求める探求者の記憶をも、あたかもわが経験であるかのように保有している。
今回はそんなひとりの探求者のあくまで個人的な記憶をたどってみようと思う。彼一人の記憶によるものである以上、畢竟その見解に片寄りが生じていることはご了承いただかねばならないだろう
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旅のはじめに |
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現在、児童向けアパレルの世界にいかなる大変動が起こっているかいないのかは地蔵たる私の知るところではないが、従来男児というものは基本的に グンゼを頂点とする白いブリーフを買い与えられ、何の疑問もなくそれを着用するのが常であった。
こうした少年たちのおおくは思春期、自我のめざめとともに白いブリーフへの嫌悪感、羞恥心をいだくようになり(部分的な変色が契機となることが多い)、そこから彼らの果てしない旅が始まるのである。もちろん、密室の中、レディの眼前でグンゼ姿で呆然とする自分、という当面おこりえない可能性に対する強い拒否感が彼らのモチベーションのひとつになることも否定できない。
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ブリーフの選択に対し、トランクスの選択に困難が生ずる原因は何といってもその形態から来る宿命的な ホールド感の悪さである。アイテムのホールドを主眼において開発されたブリーフは種類を問わずある程度のホールド感を約束してくれる。
しかしトランクスはそのカット(微妙な形態)、布地の品質などさまざまな要素と着用する者の体型、アイテムの位置や形態などの要素との合致がないと、ときに衣服内において アイテム がまろび出るなどの不毛なアクシデントを迎えることになるのである。
日常生活における「まろび出」が、その種の性的ニュアンスを含んだアクシデントに期待されるようななんらのドラマの契機ともなり得ない、純粋に不毛な事象であることは体験したものであれば容易に理解できるであろう。製品も変われば己の体型もまた変わり、ぴったりと合致する製品探しは終わることがない。ここにトランクス探しが 探求とよばれる所以がある。 |
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ただしこの探求の旅はエコノミークラスであることを告白しなければならない。
シルクを始めとしたプレミアム・アンダーウェアの世界に踏み込まずに探求と呼べるのかという疑問の存在は認めつつも、所詮は下着、いかなる高品質な製品も擦り減り、破れ、変色する運命にある以上、合理的な経済活動の一環として選択作業を行わざるをえない、というのがこの旅における基本的なスタンスである 。 |
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HANES(ヘインズ) |
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探求を開始した彼らの前にはまずヘインズが現れる。
これはTシャツの基本形をなすアメリカのメーカーであり、そのTシャツは3枚1000円でありながらクラシック・アメリカン・カジュアルの世界では常に OK でありつづける青少年にありがたいブランドである。
ここのボクサーパンツは安価ながら、視認性の高いマークが前面についており、探求に乗り出したばかりの少年にとって安心を提供してくれる。
短パンのごとく それのみを着用して外を歩き回る者もいる程のカジュアル感が強みである。しかしいかんせん安価さを追求した商品であり、やがて股間の縫い目がほつれる悲劇を迎えることになる。 |
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H.R.M(ハリウッドランチマーケット) |
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ハリウッドランチマーケット(HRM)。
1970年代から2000年代の今に至るまで常にある種のカリスマを備えつづけている奇跡的なショップだが、1980年代中盤、HRMブランドによるトランクスがその品質において
頂点を迎えた時期がある。
生地の色柄、肌触り、カッティング、縫製などすべてに満足できる仕上がりをみせ、それをはく者に深い満足感を与えた。
しかし世界はすべておおきな波動の中にある。やがてゆっくりと波は引いてゆき、パンツの布地は薄くなりアイテムのホールド感は低下していった |
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TRD |
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トラッドショップはその性格上、ほとんどがブリーフでなくトランクスを提供する。生地は彼らお得意のオックスフォードや落ち着いたチェック柄などで、冒険したくない時の選択肢といえる。
しかしその多くが特にチェック物において、あまりにも薄い生地 を使用するという問題点を抱えている。
薄い生地は周囲の環境に影響されやすく、ちょっとしたことでホールド感が悪化する危険をひめている。
腰周りがむっちりとし、トランクスをタイトにはきこなせる人間は比較的ホールド感の問題に直面しない。トラッドが似合う小太りの男が、ここのトランクスにも合うといえそうだ。 |
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HOM(オム)
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HOM。これはある種、通常品とプレミアムの中間に位置するともいえ、フレンチ・ブランド(製品は日本製)のイメージもあいまって、ナルシスティックな着こなし に欠かせないイメージがある。
HOMのビキニ・ブリーフにいたってはまさに脱ぎたい男のためのブリーフと言っても過言ではなく、その被覆面積は一般向け製品としては 極小 の部類に入り、アイテムのコンディション次第では「顔出し」 の可能性すらある。
ただし品質においてはかなりの耐久性を有し、優雅でソフトなイメージに反してメカニカルな部分では骨太な堅牢さを見せるフレンチ・カーを連想させる(製品は日本製) |
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>> ディック安住の地を求めて 〜彷徨編〜 |